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ホワイトカラーエグゼンプションが過労死防止、だと? [社会っぽい]

 ダイヤモンドオンラインの記事、

「残業代ゼロ」法案=過労死法案の誤解を解く

にかなり憤る。

 別段新しい知見はほとんど得られないし、あっちこっちと論理を手を変え品を変え飛び飛びでつまみ食いする、この論議では珍しくもない主張だが、全体的に包括的な内容であるのがむしろタチ悪く感じられる。個人的には偏向的で誘導的、きわめて狡猾で悪質な文章、という感想だが、とはいうものの、つぶさに検証するほど暇ではない。
 明日も5時に起きねばならないし(むろん好きで起きてるわけではない)、なんといっても結論的にはこの法案は通るはずであり、四の五の言っても時間の無駄であるのは疑いない。民主党政権なら通ることはなかったろうが、今は財界べったりの自民政権である。


 なので少しだけ非難する。

 著者は今回の論議を

『最低限5日間の有給休暇を企業が指定する仕組みも、初めての試みである。』

とたたえる(2月で1日足らず、5日の有給休暇なんて休日に5日タダで働かせればすぐに元は取れる)。

 一方の現在の労働規制では

 『今回の改革案に対して「残業代ゼロ法案」とレッテルを張る論者は、「残業代さえ払えば、事実上、際限なく労働者を働かせても良い現行制度の方が望ましい」ということに等しい。』

と批判し、ところがすぐ後に

『もっとも、現行法でも労働組合が拒否すれば、週15時間、月45時間等の法定の残業時間制限を超えることはできないが、』

と、現行でも残業時間制限があることを示しながら、

『これは現実に実効性のある規制とはなっていない。』

と実は機能していないことを挙げて現行制度を貶め、今回の制度の労働規制としての正当性を補強しようとしている。

 つまり、現行制度を、それが機能しない現実で貶めることで、同じ現実の上で運用されるはずの新制度をバラ色のごとく脚色している。


 もうひとつ。ホワイトカラーエグゼンプションの導入に当たり、『労働者の健康確保を担保する措置』として
『(1)仕事を終えてから翌日の仕事開始まで、例えば11時間の休息時間を設定、(2)実際の労働時間よりも幅広い在社時間等の健康管理時間の制限、(3)例えば年間104日の休業日数を与える使用者の義務等、多様な基準での労働時間の上限を法律で制限することである。』

と、いかにもさまざまな措置が取られるかのような印象の文を書いている。が、実際には、(1)~(3)はいずれかひとつだけでかまわないのだが、そうとれるような文章ではない。
 わざとである、と考える方が妥当だ。なぜならこの件について、これほど紛らわしい表現は、さすがに他では見たことがない。

 おそらくホワイトカラーエグゼンプションについて議論されるとき、常にこの手の論法が取られるのだろう。それを裏付けるように、この記事では、ホワイトカラーエグゼンプションについて、ほぼ満額回答である。

 著者はこの法案について『本来は「過労死防止法案」と呼ぶべきである。』とまで豪語している。

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