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SPACE BATTLESHIP ヤマト [アニメ・マンガっぽい]

 今日、あ、いや昨日か。SPACE BATTLESHIP ヤマトを観てきた。客の入りはボチボチというところだったろう。もちろん空席は多く、大ヒットには程遠い。和製ハリウッド映像と思えばなかなかのものに感じられ、まあ見て損はしなかった気はした。もう一回観たいという気はしないが。
 ちなみに前情報はほとんど入れないで観に行った。知人から評判は多少聞いていったが。

 まずは音楽を取り直していただけでもよしとするところ。去年のアニメ
復活篇は昔の曲とクラシックでお茶を濁す?ような体たらくだったので、新しく録っていて新曲もあったのは評価できる。全体的にそれほど盛り上げる迫力は無かったが。
 また、映像も前述したとおりハリウッドばりという意味では悪くなかったし、我々の世代は、テーマ曲とともにヤマトが飛んでいる、というだけで身震いするほど感動できるのが得なところだ。そういう意味でヤマトの造詣はなかなかよかった。
 監督の力なのだろう、日本のSFにありがちな隙というか油断のようなものが映像に感じられなかったのもよかった。
 演技も特にひっかかる物はなかった。もっとも実写の演技は、私の語れる範疇のことではないが。
 キムタクは暴走族のリーダーくらいにしか見えん部分があり一部気に入らないが終始真剣な様子だったのでまあよく、黒木メイサの森雪も単なるハネッ返りっぽい嫌味があり、どこかクールなのが身上の松本ヒロインにはほど遠いが、やっぱり真剣なところでよしとしよう。
 柳葉敏郎の真田さんが完璧だったことは、特筆に価する。脚本の見せ方が物足りなくて残念だったほどだ。

 音楽と映像、演技という枝葉の話から入ったのはストーリーや設定についてあまり触れる気にならない、ということだ。

 ひとつ前もって言っておくと、ストーリー、設定に破綻は感じられなかった。脚本は流れに沿った、ほぼ無理のないつくりになっていたと思う。現代的には突っ込みどころ満載のオリジナルからすれば、苦しかったとすれば放射能除去装置とガミラス星攻防のあたりだろうか。話運びもそつはなく、退屈しないものだった。そういう意味では、単に趣味の問題といえなくはない。ただしこれがヤマトでなければ。
 ストーリーは元のヤマトを切った貼ったして、それからオリジナルを知っている人を飽きさせないようにだろうか、いろいろアレンジした、という感じのつくりだった。事前に”後半は古代と雪がやたらイチャイチャしてるらしい”という風評を聞いたがそれほどでもなかったのはよしとしよう。
 オリジナルの名台詞がいくつも借用されている。台詞の使われ方にほぼ違和感は感じなかった。前述のとおり真田さんが演技が真田さんそのものだった分気になる部分があったが。

 設定はストーリーのアレンジに合わせてアレンジされているところとそれに関係なくアレンジされているところがあった。
 何が一番違和感があるって、やはり設定だ。

 以下ネタばれ有り。
 まずなんといってもガミラス。ガミラス艦がまるでエイリアンのようなかっこ悪い(どちらかというとおぞましい系統の)デザインだと思ったら、ガミラス人自体が、ほんとにエイリアンのような連中だった(器というべきかも知れないが)。尺を考えると敵まで含めて作劇している暇が無いからなるべくシンプルな敵にしたかった、ということだろうか。それはそうかもしれないが、おかげでガミラスは単なる侵略者以外のイメージをほとんど残せなかっただろう。いや、戦艦のデザインのイメージから、侵略者というより宇宙怪獣のイメージのほうが近い。途中の反撃も軍隊と考えるには組織だった感じがせずたいしたことなかったし。
 あるいは海外展開を考えると、ハリウッド的に敵の宇宙人が人型ではまずいのか?ハリウッド標準に合わせていたら日本作品のよさというか日本作品であることの意味が消えてなくなる。

 古代進は軍を辞めてなぜかレアメタルの採掘をしていた(復活篇の古代といい、暗い世相を反映してるのか?)。森雪がブラックタイガー隊員の戦闘機乗りだった。佐渡先生が女だった(少し変人だったのでまあまあではあるか)。軍服って上着だけでいいのか?相原も女だった(意味がわからんが、男である意味もあまりないのでいいか)。アナライザーは古代のPDA?だった(これは佐渡先生の助手してるより説得力ある)。斎藤が乗っている(まあいいけど)。いきなり波動砲撃ちやがった、しかも地球の大気圏内で。まあ波動砲発射のプロセスはよし。でもワープのプロセスはほとんどスイッチポンに近いぞ。島所帯持ちだったのか。敵艦との距離何十キロって聞こえたが、さすがに宇宙キロの聞き間違いに違いない、数十kmなら短距離ミサイルでも届きそうだ。なんでレーダー手の相原でなく古代が敵を見つけるんだ、肉眼視で。第3艦橋のおまえ(名前忘れた)、いきなり現れてそんな話するなんてフラグ立ちまくりだぞ、と思ったらやっぱり。なんと、イスカンダルがガミラスの双子星じゃない!ヤマトがガミラス星に降下しながらワープしやがった。あれ?山本が!!この展開はまさか。アナライザー、お前戦闘ロボットだったのか!しかもどこかで見たことあるような雰囲気の。なんと沖田艦長の感だけでイスカンダル目指したのか!なんでガミラスは人口惑星ではないのにそんなひとつきりの中枢動力源でなりたってるんだ。真田さん、いきなり古代を「弟のように思っていた」って、そんな伏線どっかにあったっけ?その前には浅はかに古代に掴みかかったり。真田さんはいつでも沈着冷静でなきゃ。そしてこの展開はやはり・・・。デスラー、ろくな描かれ方してないのでろくに印象が残らないぞ。
 そんなふうに?しながら、オリジナルのヤマトへのオマージュがちりばめられつつ物語は進む。
 そして最後の最後に”惑星破壊ミサイル”が・・・。一刻を争うはずの状況中では、さすがに古代と雪のいちゃいちゃが気になる。そんなことしている場合じゃないだろう!好意的に解釈すれば事前に相原がどのくらいで攻撃が始まるか割り出したのかもしれないし、私がそれを聞き逃したか忘れたのかもしれないが。

 もうひとつ、この作品がヤマトと決定的に違うところに、そしてなによりも残念なところに、宇宙というものを感じさせてくれないところがある。せいぜい最初の「無限に拡がる・・・」のナレーションに感じられるくらいで、劇中にその手のけれん味がほとんど描かれず、視野が宇宙そのものにまで向いていかない。イスカンダルがどんなに遠いか実感しづらい。これも映画の尺では難しいことなのだろうが。
 せいぜい最後のカットに地球に緑があることのすばらしさという、21世紀のテーマにはかなったものは少し感じられたかもしれないが。それで何が悪い、と問われたら、これがヤマトだから、と答える。

 総じて、悪くはないが、一度見る分には退屈しないが、何度も観る気はしない、まさにハリウッド的作品のイメージという感想である。ハリウッド作品でも傑作はまた観る気になるので、傑作レベルとはいえない。
 でも、こんなこといいながら、たぶんもう一度は観るだろう。ヤマトの姿を観るために。

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